実は難しい!?ロックにおけるコードの聴き取り

コードの聴き取り

音楽を聴く時、ギタリストであれば和音の耳コピはとても重要なスキルでしょう。

ルート音さえ分かっても、どういった構成音で弾いてるのか聴き取りが難しい事もあります。

コードというものはクセモノで、実際に耳コピする時、本当にこの構成音で合っているかどうか分からなくなる場合が多々あります。

下記の図を見て下さい。

どれもCメジャー・コードですが、おそらく様々な出版社のギターTAB譜で何度も目にしてることでしょう。

ただ、シンプルなメジャー・コードとはいえ、Ex-1からEx-4までのコードを正確に聴き分けることは意外にも難しいものです。

なぜなら、独奏ではないバンドのアンサンブルでは、ギターの音は埋没しやすいからです。

その要因はギターの歪み具合やレコーディングの音質の問題だとは思いますが、それでもどうにか聴き分けるコツというのはあるので、今回説明していきます。

エクササイズごとに度数で表記しています。

Ex-1「Root+P5th」

まず、Ex-1を見てください。こちらはRoot+5thの2音で構成されています。

いわゆるパワーコードで、ロックでは不可欠なコードです。

とりあえずギターコードを聴き取るだけなら、パワーコードだけを弾いてから構成音を分析していくという方法は非常に理に適っています。

私もこの方法で採譜をしてますが、マスター音源の音質がどうあれ、何よりもルート音だけでも聴き取ることが重要です。

そして、このパワーコードを基準にコードの聴き取りのコツをみてみましょう。

Ex-2「Root+P5th+P8th」

続いてEx-2ですが、こちらはEx-1のパワーコードの構成音に、ルートから8度の音が追加されています。

さて、ここで耳コピにおいて、最も重要な事はEx-1と Ex-2を正確に聞き分けれるかという問題です。

後者の方が音に厚みがあるわけで、簡単だろうと思っても、実際にはかなりシビアです。

ギター単体だけなら、かろうじて聴き取り可能かと思いますが、そこにドラム、ベース、キーボードなどが加わると、一気に難易度は上がります。

私は楽器分離ソフトを耳コピで使いますが、それでも場合によっては困難な事があります。

実際に弾き比べると、こんな疑問が生じます。

「どっちでもいいのでは….?」

正直なところ、どっちで弾いても大差はありません

今度は以下のフレーズを見てください。

このような16分音符のパーム・ミュートを交えた2小節のギターリフを弾く場合、Ex-Aの方はピッキングの振り幅が小さくて速弾きに適しています。

Ex-Bの方はピッキングの振り幅が大きくて速弾きには向いてませんが、音に厚みがあり、太いサウンドを得ることが出来ます。

ロック系の曲には、頻繁にこういったフレーズが出てきますが、実際にギター単体だけで弾くなら印象は違うでしょう。

しかし、アンサンブルの中で聴き分けは本当に困難なもので、市販の楽譜を比較しても曖昧な印象を感じます。

ましてや、レコーディング時のギタリストが録音した映像があるわけでも、手元アップしたシーンを分析して、採譜するなどないでしょう。

こればかりはギターを弾いた当事者に尋ねないかぎり分かりません。(当事者に訊いても分からないケースもあるとは思いますが…)

この時点で、確実な正解などないので、耳コピは推測が重要なのがお分かりでしょう。

このことを踏まえながら、話を進めましょう。

Ex-3「Root+P5th +P8th +M3rd」

Ex-3を見て下さい。こちらはEx-2にさらに2弦5フレットのE音が加わります。ルートからの度数だと3度にあたる音です。

このコードだと、ほぼストロークになりますが、パンク系ロックによくあるフォームです。例えば下記のEx-Cのようなフレーズです。

聴き取りに関しては、5弦から2弦を最後までピッキングしてるかが重要ですが、ただ場合によってはEx-Bの3和音構成と酷似して聴こえるかもしれません。

では、判断基準はどうするべきでしょう?
これはもう楽曲の曲調で推測するしかありません。

3弦同時に弾いてるのか、4弦同時に弾いてるのか、これだけで神経を使いますが、あまり深く気にし過ぎない事も大事です。

Ex-4「Root+P5th +P8th +M3rd +P5th」

最後のEx-4、このようなバレー・コードでCを弾く事は珍しいですが、1弦3フレットのG音がしっかり鳴ってるかが重要です。

このバレー・コードで弾いてるのかを推測するには、前後の小節のフレーズにおけるコード・ポジションに左右されるかと思います。

例えば、以下のようなコード進行です。

Ex-Dのように、1~3拍目までがバレー・コードのポジションで押弦してる場合だと、4拍目のCコードはバレー・タイプで押弦する方が合理的でしょう。

まとめ

いかがでしたか?

コードの耳コピだけで、あれこれ考察しないといけないのかと思いましたか?

もしかしたら、アーティスト本人と同じ弾き方でコピーをしたいのが本音かと思いますが、本人が監修しているギタースコアは数少ないのが現実です。

以前の記事でも似たような事を書きましたが…

ギタリストにとって耳コピスキルは必須ですが、実際のところ自分が弾きやすいポジションで弾く事の方が大事です。

100%完コピを目指すよりは、個性的なカバーを目指す方が理想だと私は考えています。