PC版のMacに初めからインストールされている音楽制作ソフトのガレージバンド。
無料とは思えないほどの高品質なDAWソフトですが、ギタリストとして気になるのは搭載されているアンプ・シュミレーターのクオリティーではないでしょうか。
今回はプリセット(初期設定)として、ガレージバンドに登録されている歪み系ギター・アンプのカテゴリー「Distorted Guitar」にある17種類のパッチを全て試して、実際の曲作りやレコーディングに使えるかどうか検証してみました。
パッチのセッティング、プラグイン(拡張機能)もそのままで一切変更せず、あるがままのサウンドをガレージバンドで録音しました。
Macを使ったことがないWindowsユーザーの方はこれを機会に検討して頂けたら幸いです。
演奏は私自身がしており、使用機材はFenderのSSHストラトキャスター、AXE I/Oのオーディオ・インターフェースにシールドを繋いでライン録りしてます。
なお、パッチごとのプリセットに合わせて適当に演奏してるので、細かなテクはご了承下さい。
目次
American Stack Crunch
まずは、アメリカンと名付けられたパッチだったので、つい反射的にヴァン・ヘイレンのような速弾きをしたくなりました(笑)
アンプモデルはMESA/BOOGIEのレクチファイアでしょうか。ハードロックをやるなら、このパッチは結構オススメです。弾いてて非常に気持ちが良いサウンドでした。
ガレージバンドではどのパッチも基本的にノイズゲートが掛けられているのがデフォルトです。それでもこのパッチはノイズがちょっと多いように感じました。
セッティングを変更するのであれば、アンプのGAINを9時の位置まで下げるぐらいで丁度いい具合に弾けて、ノイズ対策もしやすいと感じました。
Bell Bottomed Stack
アンプモデルはヴィンテージ風のマーシャルアンプで、70年代のロックを彷彿とさせます。
歪みは控えめでありながら、太いサウンドが特徴といったところでしょうか。
少しばかり音が不鮮明なところがあるので、ペダルボード側でONになってるディストーションのDRIVEを上げると音がクリアになります!
Big Hair Harmonics
SpreaderやTape Delayといったエフェクトが多重掛けされたサウンドです。アンプモデルはENGLでしょうか。
アンプ側のGAINがMAXに近いのに、更にエコーやリバーブなどが掛けられて、原音からは程遠い音作りになっています。
とても扱いにくいパッチではあるものの、”飛び道具的”なプレイをするのに強烈な印象を与えられるのではないでしょうか。
Black DI
正直、どう弾こうか悩むパッチです(苦笑)
音が突然スパッと切れるようなセッティングになっており、すごくチープなサウンドです!
プロの楽曲のイントロでよく使われる”ラジオ風ローファイ・サウンド”のような技を使うなら、カッコ良くてアリではないでしょうか。
Browne Tone Metal
17種類の中で”トーン”がとても心地良くて、音の伸びがあるのが特徴的でした。
どれかひとつ選ぶのであれば、私はこのパッチにするでしょう。
何よりドライブ感がありながら、ノイズが比較的少ないのが良かったです。
リードギターにもリズムギターのパートどちらでも弾けるようなセッティングになってますし、後は好みに合わせてエフェクトやツマミをいじれば完璧です!
Burnin’ Tweed
Fenderのツイードアンプをモデルにして作られたパッチです。
ツイードアンプらしいサウンドをあまり活かし切れずに、歪み成分だけが強調された音作りが少し気になりました。
実はこのパッチ、アンプ側ではあまり歪ませておらず、プラグインのペダルボードにあるヴィンテージ風のオーバードライブで歪ませたセッティングになっています。
ある程度セッティングをイジれば音は良くなりますが、プリセットの段階では残念な部分が露呈してるので、少し注意が必要です。
Classic Drive
Bell Botommed Stackと同じく、アンプモデルはヴィンテージ風のマーシャルアンプを使っており、こちらの方はドライブ感があります。
ピッキングしたときに”ズシン”とくる太いサウンドが特徴的です。
ロックンロールやブルースのセッションで使いたくなる印象を感じました。
Flangilated Lead
空間エフェクトを前面的に押し出したパッチです。
音作りの大部分はアンプ側の”MODULATION”で成り立っており、これをOFFにするとアンプ特有の図太いサウンドにできます。
幻想的なフレーズを弾きたいときや、エコーの掛かったリードプレイがしたいときはオススメの選択ですね。
Maelstrom
GAINがMAX!!(一番やってはいけないセッティング)
音はドンシャリ気味の設定ですが、とにかくノイズが多くて演奏に集中できませんでした…
プラグインのペダルボードで更にブースターが掛けられていたので、納得しました。これをOFFにしないと話になりません。
それでもエコーが掛けられてるので、これはリードプレイ用でリズムギターを弾くことを想定してないと疑ってしまいます。
メイルシュトローム=大規模な渦潮、扱い注意ですね…
Midrange Solo
名前の通り、中音域をブーストさせたギターソロを弾くのに相応しいパッチです。
ピュアなサウンドを求めるHR/HM向けのギタリストには打ってつけで、ネオクラシカルな速弾きをするのに適しています。
ディレイの代わりというか、いい感じにエコーが掛けられてるので、弾いた後の余韻を上手く引き出せると思います。
ただ、リズムギターを弾くには余分なエフェクトが掛かりすぎているので、あくまでリード用と割り切った方がいいかもしれません。
Modern British Metal
GAINがMAX!!(2回目)ガレージバンドではよくあることと認識していいでしょうね…
17種類の中でメタル色が一番強いサウンドで、歪みペダルも多重掛けされているので、非常に荒々しくてアグレッシブです!
アンプモデルは現代風のマーシャル・シリーズで、ガレージバンドのマーシャルは歪みに迫力がある設計にされてますね。
個人的にエクストリーム系のメタルを録りたいのに適したパッチです。ノイズゲートが良い具合に掛かってるので、ノイズ対策も十分です。
Off Axis
アンプモデルはENGLで、先ほどの”Big Hair Harmonics”よりは落ち着いた歪みサウンドになっています。
どことなく上品に音作りされている印象があり、迫力には欠けるものの非常に扱いやすいパッチだと思いました。
多方面に使えそうな可能性があります。
Souped Up Amp
アンプモデルはFenderですが、フェンダー・アンプ自体に深い歪みはなく、ペダルボードのディストーションで歪みを作っています。
そのままでは荒々しいサウンドになるためか、プラグインのコンプレッサーを掛けて音との輪郭を整えてるようですが、少しノイズが残るのが気になりました。
フェンダー・アンプはクランチ系のサウンドで使われることが多い印象がありますが、これはこれでパンチの効いたインパクトがあってアリだと感じました。
Stadium Spread
アンプモデルはVOXで、ディレイやリバーブなどの空間系エフェクトが掛かったパッチです。
アンプの性能としてポップス系を演奏するのに向いてますが、なんとこのパッチはプラグインのブースターを2個使用して歪みを作っています!
この2つのブースターをOFFにすると、急にクランチ・サウンドになります。(個人的にはコチラの音が好きです)
プリセットはスローテンポのバラードのような叙情溢れるギターソロを弾くのに相応しいのではないでしょうか。
Super Fuzz
名前が” Super Fuzz”とあるものだから、ジミヘン風のサウンドを期待してましたが、すごく音が引っ込んだ印象がありました。
プリセットの段階ではあまり使えたものではありませんね…プラグインではFUZZを使ってますが、アンプ側とエフェクトボード側でもっと音をイジる必要がありそうです。
また、コンプレッサーが掛かっているのですが、これをOFFにした方が音がクリアになります。
まだまだ改善の余地がありそうなパッチです。
Time to Shred
ガレージバンドではどういう位置付けか分かりませんが、”シュレッド”と名付けられており、速弾きギタリスト向けのパッチでしょう。
ただ、ノイズゲートの音の衰退が気になりました。音符を一定期間の長さで延ばす場合のプレイには向いていません。
なので、スレッショルドを調節する必要がありますが、歪み成分が強いのでノイズ対策もきっちり行う必要もあります。
高音のリードプレイには向いてますが、低音における音の粒立ちがあまり良くありません。これも割り切って使用する方がいいでしょうね…
Wide Wide Wah
ワウ・ペダルを存分に活かしたパッチです。
このパッチに関しては、実機であるエクスプレッション・ペダルを導入して、実際に踏みながら演奏しないと真価を発揮できないと思います。
アンプモデルはよく分かりませんが基本的にクリーン・サウンドで、歪みはプラグインのペダルボードにあるFUZZで作っており、後は同じくペダルボードにあるディレイが掛かっています。
お手軽にワウ・サウンドを求めるなら、選択肢のひとつにあってもいいでしょうね。
まとめ
いかがでしたか?
私のつたない演奏ではありましたが、ガレージバンドのアンプシュミレーターはクオリティーが高いです。
どのパッチもそうですが、すべては演奏者のセッティング次第で音は良くなるということです。
今回はプリセットから変更してはいけないという縛りプレイだったので、本当はこうしたいと思う部分がたくさんありました。
冒頭でも述べましたが、実際の曲作りやレコーディングに使えるかは私自身がプリセットの段階で使えるパッチは以下の通りです。
- American Stack Crunch
- Browne Tone Metal
- Midrange Solo
ギターのプレイ・スタイルにもよりますが、ガレージバンドの”Distorted Guitar”にあるカテゴリーでは、これらのパッチの歪みは自分にとって相性が良かったです。
ヘッドアンプ、キャビネット、マイクの種類を変更するだけで、サウンドがガラリと変わるので、これだけで音の沼にハマります(笑)
歪み系だけでなく、他にもクリーン・サウンドやクランチ・サウンドのカテゴリーがありますが、また機会があれば紹介したいと思います。
Windowsユーザーの方、もしくはガレージバンドを使ったことがないMacユーザーの方も、これを機会にお試ししてみてはどうでしょうか!