一般的なバンドスコアは上からボーカル、ギター、ベース、ドラムの順番で掲載されています。
そして、鍵盤楽器のある曲は当然ながらキーボードパートとして追加されてるわけですが、どうもバンドスコアでも出版社によってバラつきがあるパートのように感じます。
ギタリストからしてキーボードという楽器はリズム楽器とリード楽器の両方をこなすことができる重要なパートで、曲全体のバリエーションが格段に拡がる強みがあります。
Rock/Pops系のバンドではキーボーディストがいないことが多く、バンドスコアでも冷遇されてるのではと疑いたくなることがよくあります。(キーボーディストは意外と希少ですからね)
今回はギタリスト目線からキーボードパートを探っていきたいと思います。
Other – 他人です。
まず、バンドスコアにおいてキーボードパートがある曲は以下のように掲載されていることが多いです。
ここで赤丸で記した「Other」がキーボードパートになるわけでが、そもそも「その他」として扱われてるのって、ヒドいように思いませんか?(苦笑)
まず、このスコアではト音記号である主旋律の五線譜しかありません。
つまり、右手だけで事足りるフレーズしか掲載できないわけですが、実際にはそんなことありません!
本来であれば、左手も動くフレーズをたくさん弾いているわけで、ヘ音記号の五線譜も載せるべきなのです。
しかし、紙面上の都合上で割愛をせざる得ないのです。ギターでもフィルインやオブリガードのフレーズが掲載されていなこともありますが、それと同じです。
必ずしもGt.1とGt.2だけで曲が演奏されてるわけではなく、複数のトラックが重なって演奏されています。
キーボードも同じような境遇で、さらに音色がピアノだけではないので、Otherとして表記せざるを得ないのでしょう。
理想はすべてのトラックを掲載?
では理想となるキーボードパートはどういうバンドスコアであるかというと下記の画像です。
このバンドスコアでは、キーボードパートは音色ごとに分けて掲載しています。
ピアノはト音記号とヘ音記号のセットで、シンセサイザーのパートはト音記号の五線譜を2つ載せています。
シンセサイザーといっても様々な音色があります。シンセストリングス、シンセブラス、シンセリード、シンセパッドなどなど…音色はカッコで指定されてることが多いです。
ただし、これはキーボーディストにとっては親切ではあるものの、4分ぐらいの曲をバンドスコアとして作成すると、膨大なページ数になります!
B’zのベストアルバム「Pleasure」が全曲すべての楽器パートを掲載した「 Pleasure (Official Band Score)」がありますが、膨大なページ数で、とんでもなく分厚いです(笑)
そして話を戻すと、ページ数を減らそうと五線譜の倍率を下げて圧縮をしようとすると、虫メガネを使ってバンドスコアを見ることになります(笑)
それだと目が悪い人は弾けなくなってしまいますから、次の解決策がベストでしょう。
別に掲載するのが現実的
キーボードパートはバンドスコアとは別に掲載されている場合があります。
このキーボードパートのスコアでは、上からピアノ、シンセリード、シンセブラス、ティンパニーが載っています。
様々な音色を使い分けて演奏されている曲のキーボードパートだと、バンドスコアとは切り離して掲載するのが現実的だと思います。
「Other」として五線譜を一本化して、わざわざカッコで音色を指定する必要性もありません。
なによりパーカッションであるティンパニーを併せて載せれるのも強みです。
もちろんライブ演奏での両手だけでは不可で、あくまでレコーディング用としてのスコアにはなりますが、それでも全ての音が掲載されてるのは心強いです。
まとめ
日本はピアニスト人口が多い割には、キーボーディスト人口が少ないように感じます。
同じ鍵盤楽器でもソロで完結してしまうピアニストよりは、バンド形態で活躍するキーボーディストが増えてほしいのがギタリストからの要望でしょう。
また、MIDIキーボードで鍵盤を弾くギタリストも多いかと思います。ですからキーボーディストの気持ちが我々には分かります(笑)
音色を使い分けることが難しい楽器だからこそ、「Other」だけでは汲み取れないパートをバンド全体のアンサンブルとして見つめ直すことも大事なのではないでしょうか。